読書とは言えないけれど、
以前にも紹介したみやざき中央新聞の記事より。
八ヶ岳倶楽部のオーナー・柳生博氏のお話です。
柳生十兵衛とか柳生但馬守をご先祖とする柳生氏の家訓には、
「13歳になったら旅に出よ」もあれば、
「自分の木を持ちなさい」というのもあるとか。
・・・(略)
13歳の中学3年生の時、
数万円のお金を持って否応なく旅に出されました。
最初に行ったのが、僕が今住んでいる八ヶ岳です。
野宿をしながら1か月間過ごし、
「木と話そう」「木に相談しよう」
と努力しました。
どうやるかというと「抱っこ」です。
でも、木を一生懸命抱きしめても、なかなか答えは返ってきませんでした。
生き物たちに興奮し、感動し、
時に寂しくて泣く毎日でした。
そんな中、ようやく会得しました。
それが、かかととお尻と背中と後頭部を木にペタッとつける「抱っこ」です。
そうすると、日頃使っている脳ではなく、
先祖からずっと受け継いできた「生き物としての脳」が動き出すんです。
「ドキドキする」「ワクワクする」「切ない」とか、
そういう自分が自分でない感覚ってありますよね。
そういう生き物としての本来の脳が動きだすことで、
木とおしゃべりできるようになったのだと思います。
・・・(略)
八ヶ岳に1万本もの木を植えてきたそうです。
そうして、今は世界中からいろいろな人が集まってくると言います。
大自然の営み、偉大なる営みに沿うというのでしょうか。
地球という美しい星に生まれ、
地球を感じて、ひとつのいのちとして生きるということでしょうか。
いえ、もっともっと深い何かがあるのですね。
土や草、花と触れ合うと、
とても心が落ち着くし、
土から作られたやきものを触っても、安らかになる。
プラスティックを触っても、気持ちは癒されない。
土とか、石とか岩とか、
海とか、砂とか、
木とか花とか、
地球と私たちは対話をすることができるのですね。